2008年08月17日

15 人生に兵法的思考はなぜ必要なのか

(1)生きているということの現象的意味

 「生きている」ということは、つまるところ、いわゆるトラブル(苦労・心配・面倒・厄介・紛争・騒擾など)を引き起こすことでありますから、好むと好まざるとに関わらず、また、その価値観のいかんやことの広狭大小は問わず、現実の実人世は日々戦いの連続であり、その最たるものが即ち戦争であると言えます。

 言い換えれば、人生は常に冷酷な生存競争の戦いの連続でありますから、そのような場におけるそれぞれの矛盾解決をめざす主体的な努力なしには、我々のよく生きる道はないということです。

 このような認識に、もし抵抗を感じる人があるならば、その人は、自分の人生をよりよく生きようとする努力と、人生の真の成功者となることに背を向ける人であると言えます。あるいは、その外見は人間でも、その意識の実体は犬や猫と同レベルの酔生夢死の人かも知れません。


(2)問題解決の行動に際しては必ず衝突構造がその中枢に据わってくる

 見方を変えれば、いわゆるトラブルとは、ある要因によって正常の状態が阻害されている事態でありますから、そこには自ずから(広い意味での)意志と意志の衝突構造が存在することは論を俟ちません。

 例えばいわゆる病気などはその典型例と言えます。健康状態を阻害する要因(病)にいわゆる意志があるかどうかはさておき、意志に擬せられる物理的作用が明確に観察されるということであります。

 その意味で言えば、病と対峙し、その治療の成否が患者の生死に直結する医術はまさに兵法そのものであり、そのゆえに治療とは、兵法的思考をもって病気の撃退を図るべきものとも言えます。


 因みに、弊塾のオンライン通信講座「孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法」では、

http://sonshi.jp/sub10.html

これまでに、弁護士・公認会計士・税理士・社労士などいわゆる士業の方々が多く受講されておりますが、残念ながら、未だ医師の方の受講はありません。戦いの普遍的思想をコンパクトに纏めた孫子兵法の観点から医術を研究するのも一つ見識かと考えるものです。

 
 ともあれ、例えば、人類最大のトラブルたる戦争も、また企業間競争など様々な組織同士の争いも、あるいは個人間の対立や抗争、はたまた個々人の内面における心的葛藤も、その根底には必ず意志と意志との衝突構造があるということです。

 もとより、それが顕在化している場合もあれば、潜在化している場合もあるなどその形態は千差万別ですが、ことの本質には必ずこの衝突構造が存在するという認識が重要なのです。

 言い換えれば、「問題が解決しない」「目標が実現達成しない」などのケースは、この衝突構造の分析と把握が不十分であるため、結果として問題に適切に対処していないことに起因するものと言えます。

 そのゆえに、むしろ平凡で簡単な対象や事態ほど、(訓練という意味でも)キチンとした戦略、戦術を踏まえて問題解決を図るという認識が重要となります。


(3)衝突構造を解明するものが抗争・葛藤の原理たる戦略的視点である

 ことの広狭大小がどうあれ、その根底にある意志と意志との衝突構造という本質は不変であるため、これを解読可能にするものは、やはり抗争・葛藤の原理としての戦略的視点ということになります。ここに我々が孫子に代表される兵法的思考を学ぶ所以(ゆえん)があるのです。

 とりわけ孫子は、人類最大の抗争たる戦争を簡潔かつコンパクトに纏めたものであるゆえに、上記の戦略的視点を学び、これを日々の問題解決に活用するためには極めて適切なテキストであり、かつ有効なヒントを提示するものであります。


(4)兵法は観念論ではなく、現状打破の思想とその実践の方法である

 そもそも問題は解決されなければ意味がありません。その意味で兵法は、いわゆる観念論たる哲学ではなく行動を大前提とする実践論であります。

 とは言え、もとより闇雲(やみくも)に実践すれば良いというものではなく、当然のことながら実践のための基礎的な理論(物の見方・考え方)が必要となります。

 この理論を踏まえて問題を分析し、いわゆる「ねらい・目標」たる戦略を立案し、戦術を確立して(問題解決のための)実践行動を展開するということです。

 何事であれ、理論と実践のバランスは極めて重要であります。即ち、理論と実践はそもそも一体両面の関係にあるゆえに、両者が相互に影響を及ぼしつつ一体となってそのレベルをスパイラルにアップさせることが肝要であります。

 問題を解決するということは、つまりは、兵法の実践であり、その実践を整理して兵法の理論がさらに精緻になるということになります。

 このスパイラルな、言わばラウンド展開は、循環往復して尽きることはなく、次第により高度の問題解決に対応できるという上達構造になっております。

 これを適切に実行し得るか否かは、まさに個々人の脳力、力量に掛かっているわけですが、その実践の判断基準、指針となるものが孫子兵法であり、その実践論たる脳力開発であります。


 弊塾の通信講座「孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法」は、まさのそのために開設されているものです。とりわけ、最近は、新たに「戦略思考ができる日本人養成講座」と題してのセミナーを開催しております。

 第一期生として既に五名の方が学ばれておられます。弊塾では引き続き、第二期生を若干名募集しております。開講は九月からです。興味のある方はメールにて詳細をお問合せください。
posted by 孫子塾塾長 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 孫子
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/18074735

この記事へのトラックバック